釧路湿原の保護と利用

♦湿原環境の保全と管理

 釧路湿原は明治以来の開拓にとって多くの困難が伴ったため、役にたたない、どうしようもない土地と考えられ、「谷地(やち)」などと呼ばれていました。
­ しかし近年、この「不毛の大地」は国立公園指定やラムサール条約登録などで「世界の財産」として注目されるようになりました。
現在、釧路湿原は『釧路湿原国立公園』、『国の天然記念物』、『国指定釧路湿原鳥獣保護区』、『ラムサール条約の登録湿地』などに指定されており、国や自治体、NGO、住民などの活動により、その保全が図られています。

◊天然記念物

 昭和10年8月に釧路湿原の一部2,700haが『 釧路丹頂鶴繁殖地』として国により天然記念物に指定されました。
 昭和27年3月には、『釧路のタンチョウ及びその繁殖地』として面積を2,750haに拡大し、特別天然記念物となりました。
 その後、昭和42年6月にタンチョウそのものが特別天然記念物(生息地に関係なく)に指定され、同年7月に面積を5,012haに拡大し、湿原そのものが『釧路湿原』として天然記念物に指定されました。

◊国指定釧路湿原鳥獣保護区

釧路湿原の鳥獣保護施策は、大正14年9月に国により「クッチャロ太禁猟区」が設定されたことに始まります。昭和54年3月には天然記念物地域5,012haが「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に基づき国設鳥獣保護区に拡大設定され、うち3,833haが特別保護地区に指定されました。
その後、平成元年4月には10,940ha(うち特別保護区6,490ha)、平成10年10月には11,523ha(うち特別保護地区6,962ha)、平成30年11月には17,241ha(うち特別保護地区9,829ha)へと拡大設定され、現在は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」により『国指定釧路湿原鳥獣保護区』として鳥獣の捕獲が禁止され、生息環境の保全が図られています。

◊国立公園

 国立公園の保護と利用を適正に行うことを目的に、公園計画が定められています。
 公園計画は大きく「保護計画」と「利用計画」に分けられます。
 「保護計画」には、風致景観の維持及び適正な利用の推進を図るため、その特性に応じて、「特別保護地区」、「第1種、第2種、第3種特別地域」、「普通地域」と区域を定める『保護規制計画』や、景観又は景観要素の保護などのための『保護施設計画』が設けられます。
 また、「利用計画」には、適正な公園利用を図るために一定の利用を制限する利用規制計画と、施設を計画的に配置するための利用施設計画があります。
 ここでは、釧路湿原国立公園での保護規制計画の種別について紹介します。

ア.特別保護地区
 主に天然記念物指定地やラムサール条約の登録湿地などの釧路湿原の核心部分が特別保護地区に定められ、景観の厳正な保護が図られています。
イ.第1種特別地域
 特別保護地区に接するヨシ・スゲ湿原やミズゴケ湿原で良好な自然状態を維持している湿原について、原則として開発が認められない第1種特別地域に定められ、現在の景観を極力保護する地域となっています。
ウ.第2種特別地域
 特別保護地区や第1種特別地域に接し、多くのハンノキ林が生えているヨシ・スゲ湿原や湿原の東端にある塘路湖などの湖沼群、湿原周辺の丘陵地などが、第2種特別地域に定められています。
エ.第3種特別地域
 第2種特別地域に接する湿原や眺望地として重要な丘陵地域などについては、第3種特別地域に定められています。
オ.普通地域
 湿原上流部の丘陵地や森林、集落地、農耕地など特別地域の外縁部で、自然景観が特別地域と一体の景観をなしている地域が普通地域に定められています。


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